【終了しました】「ガンになった編集者が、文章を綴るということ。」北尾修一(『自分思い上がってました日記』著者/百万年書房)

自分の生活について書く、というのがいわゆる「生活綴方」である。そういえば安達茉莉子さんを交えて先日日本橋でトークのお相手をさせてもらったときに「生活綴方のことを話したかった(けど時間がなくて話せなかった)」と言っていたのは、そういうことだったのかと、本書を読んで思い出した。北尾さんとどんな話をするか考えると、いろいろ浮かんでくるけれど、書く、文章を綴るということについてもっと深く広く聞いてみたいことがある。

『自分思い上がってました日記』の出版を記念して「ガンになった編集者が、文章を綴るということ。」というテーマで著者・北尾修一さんにお話を伺います。聞き手は当店監修で三輪舎代表の中岡がつとめます。

イベント詳細

オンラインライブ配信について

  • オンライン配信はvimeoを使用します。配信日までに、ご購入者のメールアドレス宛に送付いたします。

見逃し配信

  • チケットをご購入のすべての方は一ヶ月間の見逃し配信を閲覧できます。後日配信用のURLを送付いたします。

登壇者プロフィール

北尾修一

編集者・百万年書房代表。 1993年、株式会社太田出版に入社。 『クイック・ジャパン』編集長を23号から50号まで務め、2006年には文芸誌『hon-nin』を創刊。 2017年に独立し、出版社『百万年書房』を立ち上げる。何処に行っても犬に吠えられる。

イベント関連書籍

『自分思い上がってました日記』

6月6日、ガン宣告されると同時に日記をスタート。家族以外の誰にもガンのことは打ち明けず、自分の感情と起きた出来事はすべて書くと決める。そうして8月21日の入院当日まで、毎日欠かさず彼は書き続けた。

その男、全身編集者・北尾修一。
朝のルーティンのランニングとビリーズブートキャンプ、その後しっかり風呂掃除もこなし、次々と届く原稿をチェックし、各地の書店に顔を出しつつ、打ち合わせと称して先々で食べ呑みに興じる。

「自分と百万年書房はしばらくこのまま続くと過信していた」
普段と変わらぬ日常の中、病の宣告を受け手術の日へと向かう不安から、彼の心情は少しづつ変化する。
病院に行って話が聞くのが怖いとおののき、娘のさりげない優しさにしんみりとし、知人の死の知らせに呼吸が浅くなり、雨が降れば「空から水が降って来ている!」と自然の神秘に感動する。

読んでいて、不安がだんだんと乗り移ってくる。怖い。手術が怖い。そしてその日はどんどん迫る。そんな中で、すでにそれぞれ自分の時間で生活をするようになった家族の、気配が感じられる朝と夕の時間の場面では息を抜くことができた。淡々と生活を共にする家族の帰宅する物音や何気ない会話。
がんの宣告を受け「世界で一人ぼっちになってしまった」と思う日があれば、妻と娘、ふたりの気持ちをちゃんと想像しようと思い直す日もある。家族の気配を感じることで、心の揺らぎがリセットされるような、そんな気持ちになった。

面白くて一気読み。慮らずそう言いたい。
続きはまた書くのだろうか。この先が気になって仕方がない。