往復書簡 ふつうの書店員 / ながいあつこ・三浦拓朗

書店は、そして書店員は、そのまちの文化の担い手である。しかし、書店は続々閉店し、書店員は職場を失いつつある。職場が残っていたとしても生活するのにやっとの給与しか受け取れない。

長年の棚作りの経験に裏打ちされた技術をもつ熟練の書店員、これからの書店文化を担うはずだった中堅・若手の書店員—彼らの多くは、その仕事を続けたくても続けられず、現場を離れていった。

独立系書店(定義は曖昧だが、その意味するものはなんとなく共有していると思う)の書店主は、インターネットや新聞、雑誌の記事を通じて、また彼ら自身が発信するSNSの投稿を通じて、注目されている(だからといってうまくいっているとは限らないのだが)。でも、いわゆる「書店チェーン」の書店員の場合はどうだろうか。チェーンの社員やスタッフは自由な発信をほとんど認められていない。発信する余裕などないし、そもそも発信したいことなどないと言うのを聞いたことがある。

本屋・生活綴方には、70名近い「お店番」がいる。そのなかに、社員として他の書店に勤めながら、だいじな休日の時間を割いて本屋・生活綴方のお店番としてかかわるひとが、ふたりいる。書店チェーンに勤める三浦拓朗さんと、書店チェーンを経て大学内にある書店に勤めるながいあつこさんだ。休日まで本屋ではたらくなんて、どれだけ本屋好きなのか、と不思議に思うひともいるかもしれない。でも、彼らは、書店員でありつづけるために、ここに来ている。

ふたりに、書店のしごとについてなにか書いてほしいと思って、この企画を持ちかけた。2021年11月半ばから2022年1月末までのあいだ、Eメールをつかった往復書簡で、おたがいのしごとについてのやりとりをしてもらった。

序文より

書誌情報

著者・・・ながいあつこ/三浦拓朗
価格・・・800円+税
判型・・・A6やや小さめ
頁数・・・48ページ
印刷・・・リソグラフ印刷
製本・・・中綴じ
企画/レイアウト・・・中岡祐介(三輪舎)
発行/印刷・・・本屋・生活綴方