佐々木未来個展「日めくりと私 十年ぶんの絵」|本屋・生活綴方5周年記念展

本屋・生活綴方が開業したのは、5年前の2020年2月15日。その少し前、ちょうど開店作業をしていたときに横浜港へクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」が入港し、いわゆる「コロナ禍」が始まろうとしていました。

日々の連なり、それが生活です。労働の時間的な単位はきほん、週や月、年という単位でおこなわれるものです。長いプロジェクトだと数年、ないし十数年というものもあります。

でも、生活は一日単位。今日の生活、明日の生活、昨日の生活。朝起きて、ご飯を食べて、仕事して、遊んで、本を読んで、風呂入って、歯磨きして、寝る。それが一日というもの、生活というものです。生活の豊かさとは、そういう一日を大事にできていることであり、生活の貧困とは、日々を自ら蔑ろにしたり、誰かや何かによって蔑ろにされていることです。

佐々木未来さんの「日めくりと私」は、市販の日めくりカレンダーの上から自由なドローイングが施されたもので、毎日instagramで公開されています。絵の題材はさまざまで、未来さんが編み物をした日には日付の数字に毛糸が巻かれたり、その日に訪れた美術展をオマージュしたものだったり、まったく無関係なものもあったり。

楳図かずおさんを追悼する日めくりもあったり。

5年前の開業の日、そのこけら落としとして開催したのが佐々木未来さんによる「日めくりと私」展でした。新型コロナウイルスが私たちの生活にどれほどの影響を与えるものなのか見当もつかなかったし、それが三年以上つづくとはまったく予想だにしませんでした(正直、最初はなんだかわからなかった)。「生活」ということばを冠した本屋を開業し、そのこけら落としが未来さんの「日めくり」だったことは、不思議なめぐり合わせでした。

作家からのメッセージ

本屋・生活綴方に再び「日めくりと私」がやってきました。当時は5年分の作品全てを壁一杯に貼りました。扉のない本屋からは風が流れ、人が行き交い、本棚と向かい合った日めくりが、ひらひらと揺れる風景が好きでした。それから5年分増えたので、今度は滝のように日めくりを流してみます。手に取って見られる展示なので、ぜひ、そっとめくってみてください。それから、「なんで日めくりに絵を描いてるんだろうZINE」もつくりました。飽きっぽい自分がこんなに続けられると思っていなかった「日めくりと私」は、とりあえず飽きるまでやってみるつもり。

どうぞよろしくお願いいたします!

佐々木未来 Miku Sasaki

開催概要

  • 日時:2025年2月14日(金)〜3月10日(月)
  • 営業:金・土・日・月 12:00 – 19:00 (火水木・定休)
  • 会場:本屋・生活綴方 横浜市港北区菊名1−7−8 東急東横線・妙蓮寺駅徒歩2分
  • 入場料:無料

プロフィール

佐々木未来
1984年札幌生まれ。
イラストレーション、グラフィックデザイン、アートワークショップなどを中心に活動。