青木直哉さんによるペン画展を当店ギャラリーにて開催します。
青木直哉さんに何者なのかと問うたところで、はっきりしません。ジャグラーとして世界各地のフェスを旅しながらパフォーマンスを披露しています。でも、彼にとってジャグリングは生き方であり、職業ではないと言っていました。生活のためでもなく、誰か/何かのためにしていることでもない、とも。人を楽しませるためにパフォーマンスをすることがあるけれど、彼にとってそれは二の次。それじゃあ何なのかというと、おそらく「つづけている」ことそのものが大事なんだと思います。
そんな彼が数年前に突然、絵を描き始めました。ボールペン一本で描かれたものはとてもシンプルな造形ではありますが、自由に、かつ慎重に描かれた線は、どこかジャグリングの動きを思わせるものがありました。そして何より、それをずっとつづけているという点が共通しています。彼にとって、それは生活そのものなのかもしれません。
絵を描きたくて、数年前から絵を描き始めた。ただ、紙も画材もなんでもアリだと、描くたびに「さて今日はどうしよう」と迷ってしまう。これでは習慣として続かない。そこでルールを決めた。それはハガキ大の紙に、ボールペンで絵を描く、ということだ。理由は簡単。そのふたつの画材が、たまたま家にあったから。そして、持ち運びしやすいから。
小さい頃から絵を描いてきたわけではない。正規の美術教育を受けたこともない。初めて描いた絵は上手くもなく、そんなに下手でもなかった。でも、これを続けようと強く思った。
明確な目標はなかった。絵で何か起きたらいいなぁとは思った。何が起きるのかはわからない。まずは千枚くらい描かないと、何も起こらないだろうと思った。だから、うまくてもへたっぴでも、量をたくさん描くことだけ自分に課した。何も起こらなくたって、千枚も絵が貯まったら嬉しい。それだけでも僕にとっては大したものだ。だからとりあえず、そこに向かうことにした。
描いてみなきゃあ始まらない。描くことからしか始まらない。描くより始めよ。
青木直哉
概要
- 日時:2024年6月21日(金)~7月22日(月)
- 営業:金・土・日・月 12:00 – 19:00 (火水木・定休)
- 会場:本屋・生活綴方 横浜市港北区菊名1−7−8 東急東横線・妙蓮寺駅徒歩2分
- 入場料:無料
プロフィール
青木 直哉
1991年横浜生まれのジャグラー、翻訳者、ペン画描き。2022年、『ジャグラーのぼうけん』(生活綴方出版部)刊行。パフォーマンスにとどまらないジャグリング活動の場として「PONTE」、外国語を学ぶ会「港北外国語大学」を主催。