コロナ禍の少し前あたりから、永井宏さんの名前をいろいろな場所で見かけるようになった。リバイバルとして散文集『サンライト』(夏葉社)や『マーキュリー・シティ』(mille books)が相次いで刊行されたのが2019年。それらはアノニマ・スタジオから2006年に発売された『サインライト・ギャラリー』とともに、コロナ禍の始まりとともに開業した拙店で飛ぶように売れた。それはもちろん、間接的にその影響下にあったぼくが積極的に店頭に並べたからでもあるが、永井宏さんの著作はコロナ禍にこそ求められているに違いなかった。

永井さんが2011年に亡くなられたあと、たくさんの書店が生まれた。いまや大都市圏だけでなく、郊外や地方、山間部にも、小さくても魅力的な書店がある。とくにコロナ禍がはじまってからのローカル志向も手伝って、その開業は加速度的に増えた。晩年は葉山に書店の開業を準備していた永井さんは、この状況をどう見るだろう。

「永井さんはこのお店をなんというだろう」
本屋・生活綴方を開業してからずっと、そんな想像をしている。品揃えが甘いというかもしれない。本屋で出版するなんて面白いね、って褒めてくれるかもしれない。会ったことがないのに、いつも叱咤激励してくれている。会ったことがないのに、いつもいろいろなことを教えてくれている。

信陽堂さんからこの秋に刊行された永井宏さんの小説集『夏みかんの午後』の刊行を記念して、トークイベントを開催します。お話しは、永井宏さんと長らく親交のあった編集者で、本書の版元「信陽堂」の代表・丹治史彦さん、そして永井さんのワークショップに参加し、直接その薫陶を受け、没後もその精神を受け継ぐ小栗誠史さんと小鳥美茂さんの3人です。

開催概要

  • 日時   2023年12月10日(日)開場11:00、開会11:30、終了13時(予定)
  • 会場   本屋・生活綴方
  • チケット 1800円(現地参加・オンライン共通)
  • 定員   現地参加15名 / オンライン100名
  • 申込   当店ウェブストア

オンラインライブ配信について

  • オンライン配信はvimeo(ヴィメオ)を使用します。配信日までに、オンライン配信チケットをご購入のミーティングIDおよびパスワードを、ご購入者のメールアドレス宛に送付いたします。

見逃し配信

  • チケットをご購入のすべての方は一ヶ月間の見逃し配信を閲覧できます。後日配信用のURLを送付いたします。

登壇者プロフィール

丹治史彦  1967年宮城県塩竈市生まれ。リブロポート、メディアファクトリーを経て、2003年10月、港区南青山にてアノニマ・スタジオを設立(2007年台東区蔵前に移転)。「ごはんとくらし」を軸にした出版とフードイベント、ワークショップなどを展開。2010年7月、井上美佳とともに信陽堂として活動を開始。

小栗誠史  1976年栃木県宇都宮市生まれ。23歳から永井宏さんのワークショップに参加し薫陶を受ける。2014年6月〜2017年10月、鎌倉市で古本屋「古書ウサギノフクシュウ」を開く。その後、古書店「Flying Books」での勤務を経て、現在は竹内紙器製作所にて文筆を担当。

小鳥美茂  タイパンツ作家。結婚を機に湘南に移住。20代後半から、永井宏さんの葉山のアトリエでおこなわれていた、ワークショップに参加。2016年から4年半、由比ヶ浜のギャラリー『BORN FREE WORKS』の企画・運営他、自費出版にて執筆活動もおこなう。

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